「お人形さん 」あらすじ
親が子供を虐待するニュースはよく耳にしますが、この漫画はまさに今の社会を題材にした問題作です。
子供を虐待して死に至らしめる親ってきっとこんなだらしない、惨めな生活をして社会の片隅で暮らしているのかなと想像できます 。
ママは彼氏がいないと生きていけません。僕はママがいないと生きていけません。でも僕は…ママの彼氏に殺されるかもしれません。――僕と妹はママに連れられて、知らない男の人と住むことになりました。そのうち赤ちゃんが生まれたけど、育てるのは僕と妹の役目でした。でも目を離した隙に赤ちゃんはお風呂場で…。ママは僕に赤ちゃんを埋めるようにいいました。次にママが好きになったのは…殴る男の人でした。うるさくした妹は殴られて…。ママはまた僕に妹を埋めるようにいいました。それで僕にはわかりました。…次は僕の番だって。
「お人形さん 」レビューと見るポイント
だらしのない母親のため幼いうちから苦難の連続のヒロキとエリ。自分の子供たちは二の次で男が優先の身勝手な母親。
新しく生まれてきた子供の世話は幼い二人に任せっきりですが、目を離した隙に赤ん坊が浴槽で溺死してしまいます。
母親は彼氏に知られると捨てられると思い、幼い子供を手伝わせ内緒で死体を山中に埋めてしまいます。
その後、母親は彼氏とケンカ別れして子供二人を連れて別の男の元へ。
別の男のもとへ行ったけど上手くいかず、挙句の果てにエリは暴力を受けて殺されてしまいます。
ヒロキはまたまた母親に死体を埋めることを手伝わされます。
今社会問題になっている虐待を描いているのですが、重苦しい気持ちにさせられます。
子供が虐待されて死に至る事件はたまにニュースになるので、この漫画程極端でないにしろ、どこか皆が知らないところで子供の虐待は行われているのかもしれません。
この漫画を通じてのメッセージを受け手が感じるのか、読み取るのか、単なるホラーとして片づけるのかは読者次第だと思います。
子供が虐待されて死んでいくこの漫画はもしかして身近に起こっている事かもしれません。
ストーリーとしてはありえないのですが、子供が死んでいくという設定はリアルということもあり他のホラー漫画と一緒にできない部分もあります。
読んでいて暗い気持ちになる、とても辛いと感じる時もありますが、それでも物語の行きつく先は何があるのだろうと興味をそそられます。
一旦入り込んでしまったら、結論を見るまでは辞められない、嫌な気持ちにさせられるけど何かを期待してしまうのかもしれませんね。
この漫画のレビューを見ていると決して評価は高いものとは言えないのですが、それでもこの漫画を読む人は少なくないようです。
怖いもの見たさとはまた違った不思議な魅力があるのかもしれません。
子はかすがい、子は宝というのに、社会の片隅で虐待を受けている子供がいるという事実に怒りを覚えます。
ある意味この漫画は社会に存在する闇を描いているものかもしれません。
弱いものは辛い思いをすると結論づけはできませんが、大人の世界でも弱いものは淘汰されていく現実は確かにある事なのです。
この漫画は弱い子供を通して、現実社会の闇を表現していると言ったら、飛躍し過ぎた論理でしょうか?
そこまで深読みする必要はないかもしれませんが、子供が無残にも殺され埋められていく場面に遭遇すると、ストレートにその事実だけを考えたくない衝動にかられます。
また、虐待と不倫を取り上げている漫画なので、当然好感度は上がらないのは明白です。
でも、ストーリー自体はそれなりの構成で描かれているし、人間のエゴもストレートに伝わってきます。
見方を変えて漫画を見るのも必要と思う時が僕にはあります。
まさに人形さんという作品がそうなのです。
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