『親愛なる僕へ殺意をこめて(5巻)』のあらすじ

白菱が畑中葉子に近づいたのは、娘を殺された復讐のためではなく、すべて京花の指示だったのです。
白菱は京花への虐待に目を背けていた時同様、命令を求め、それに従うことに悦びを感じる体質のようです。
佐井に殺されたと思われていた畑中は、実は佐井から逃げ出したところを白菱と京花に捕まり、京花の命令のもと、拷問が行なわれていたのです。
京花は拉致監禁し、殺人に至るまでの経緯を、まるで世間話でもするように平然と話し、完全に壊れてしまっています。
自首を勧めるエイジでしたが、京花の答えは「わかったよ。エイジ君。私、今からエイジ君を殺すね」というものでした。
白菱を追っていた警察は団地の一室にたどり着きます。
しかしそこにあったのは血塗られた包丁を持つエイジと、血の海に倒れる京花の姿でした。
そしてエイジは殺人未遂の現行犯として逮捕されてしまいます。
逮捕されてからというもの、人格交代はなく表にでているのはB一こと八野衣エイジ。
そして浦島エイジとは、15年前に八野衣エイジが生み出した人格だというのです。
母親の自殺を救えなかった日、エイジは父親に罪を着せた人間に復讐を誓います。
そして普段はできるだけいい子を演じられるように、もう一人の自分を作りだしたのでした。
『親愛なる僕へ殺意をこめて(5巻)』の感想と血まみれ京花の謎

またしても衝撃の展開が続きます。
まずは白菱正人。彼は奴隷気質で命令してくれる人を求め、それに従うことに悦びを感じる体質。
かなりの変態です。白菱は京花の命令通り、畑中葉子に接触し、拉致監禁した後に拷問を繰り返します。
最後には京花のことを「ママ」と呼ぶ始末。
白菱もかなりいびつな少年時代を過ごした一人だったのでしょう。
結局白菱は自分で首をつって死んでしまいます。
そしてその経緯を世間話をするように平然と話す京花。
完全に壊れてしまっています。
そして自首を勧めるエイジに対し「わかったよ。エイジ君。
私、今からエイジ君を殺すね」と告げるのでした。
これは後半を読むと、肉体的に殺害するのではなく“浦島エイジ”を表舞台から消すと言う意味だったのかと思われます。
そしてここから事態は急展開を迎えます。
団地の一室に乗り込んできた警察が目にしたものは、血だらけで倒れている京花と、凶器の包丁をもつエイジ。
そしてエイジは殺人未遂の現行犯として逮捕されてしまいます。
これまでの展開から、エイジが京花を殺したとは考えにくいですが、では誰が?B一がやったのか・・?逃げずに素直に捕まってしまったのはなぜなのか?謎は深まるばかりです。
エイジが捕まってから10日以上、人格交代はありません。
しかし表に出ている人格は、B一こと八野衣エイジ。
エイジはこの世から消え去ってしまっています。
親愛なる僕へ殺意をこめて真明寺正体
そしてここで、真明寺麗の過去も明らかになります。
真明寺はLL事件の被害者である白菱凛に妹のようにかわいがられていました。
真明寺は凛が殺害されたその日、監禁され喉に穴が開けられた凛を目にしていたのです。
そこから逃げ出した真明寺は、凛を救えなかったことを自らの贖罪として生きてきました。
実の妹の虐待は止めようともせず、近所の真明寺を妹のようにかわいがる凛。
かなり違和感を感じます。
そして拷問を受けた凛を目にし、救えなかったことを贖罪と感じる真明寺。
普通小さい子どもがそんな場面に遭遇したらトラウマになるはずなのに、LL事件を追う真明寺にはかなり強い執念が感じられます。
そして八野衣エイジ自らの口で語られる過去。
LL事件による周りからの誹謗中傷は凄まじいもので、それに耐えかねた母親は自殺を図ります。
母はまだ息があったにも関わらず、周りの大人はエイジの声に耳を傾けることはなく、母を救うことはできませんでした。
そしてエイジは「お父さんに罪を着せて、お父さんとお母さんを死に追いやった奴を、必ず見つけ出して復讐してやる!!」と強く誓うのでした。
て普段はできるだけいい子でかわいそうな殺人鬼の息子を演じるために、もう一人の人格を生み出したのでした・・。今回最も衝撃的だったのは、B一こと八野衣エイジが主人格で、浦島エイジこそがもう一人の人格だったということです。
これまで一体記憶の整合性はどうなっていたのでしょうか?
エイジが眠る夜中にB一が出てきたのか・・?そして捕まってしまったエイジはこれからどうやってLL事件の真相を暴くのでしょうか・・!?
『親愛なる僕へ殺意をこめて(6巻)』のあらすじ

少年時代、もう一人の人格に隠れながら「復讐」の文字を書き連ねるエイジ。
それを見つけた後の義姉、浦島乙に対しこの言葉を忘れろ、と彫刻刀を手に脅します。エイジが浦島家に近づいたのも、乙への口封じが目的だったのです。
浦島家に引き取られ、大切に育てられるエイジでしたが、エイジの疑いの対象は自分の保護司である浦島亀一にも及びます。
しかし浦島一家は白菱凛の殺害時に北海道におり、アリバイがありました。
エイジは大学生となり、復讐に動き出します。
そしてSKALLとLLとの間に多くの共通点を見つけ出したエイジは、SKALLが持つ売春の顧客リストの中に真犯人がいるのではないかと考えます。
また、その顧客リストはかつて八野衣真の右腕だった、花坂という男が持ち逃げしたものだったのです。
顧客リストを奪うため、エイジは畑中葉子と手を組み、SKALLをぶっ潰すという共通の目的のもと、佐井社に近づくのでした。
舞台は法廷。
エイジは畑中葉子の殺人罪については否定しながらも、京花への殺人未遂罪を認めます。
そして「すべては復讐のためだった、辛い現実から逃れるために、存在もしない真犯人を作りだした」と話します。
しかしその直後、留置場を脱走し街を歩くエイジの姿がありました・・。
『親愛なる僕へ殺意をこめて(6巻)』の感想

自分を守るため、もう一人の人格を生み出したエイジは復讐の時を待ち、知識と力を蓄えます。
小さい子どもが夜な夜な国語辞典で「復讐」や「冤罪」といった言葉を調べているのはかなり異常です。
そしてその紙を見つけた浦島乙にタックル。
しかし浦島亀一はそれを咎めるどころか、誕生日プレゼントにグローブを手渡します。
後に養親となる亀一、いい男すぎます。
しかしここまで優しくいい男だと逆に怪しくも思いますが・・。
しかし亀一の思いはよそに、エイジは乙への口封じのために浦島家に近づきます。
しかしたかが子供に紙に書かれた復讐の文字を見られたくらいで、そこまでする必要があったのでしょうか・・?
さらに、乙が大切にしていた人形をめった刺しにし、彫刻刀を向けながら「この言葉を忘れろ」と脅します。
おそらくこれが原因で乙は引きこもりになってしまったのでしょう。
なんともかわいそうです・・。そして次に白菱凛殺しの際の亀一のアリバイを調査するエイジ。
アリバイはなかったようですが、この話をわざわざ出すあたりが逆に怪しすぎます・・。
大学生となり、本格的に復讐に動き出すエイジ。
しかしエイジはいつ寝ているのでしょうか?
よくこれまで倒れずにやってこれたなと感心します。
LL事件の被害者を一人一人調べ上げるエイジでしたが、なかなか有力な情報は得られません。
そんな中、SKALLとLLとの繋がりを確信したエイジは畑中葉子に接触します。
恋愛関係にありながらも、エイジの目的が自分を救うためではないと知る葉子。
それでも葉子は「私を利用して。エーちゃん。エーちゃんの傍にいられるなら私はそれでいい」と話します。
この畑中葉子という人物も、これまで人に必要とされてこなかった、悲しい過去の持ち主なのでしょう・・。
復讐しか頭になったエイジですが、葉子に対しては特別な感情が芽生えていたようです。
そして「葉子のために・・俺が雪村京花をメッタ刺しにしたんだ・・」とつぶやくのでした。
そして舞台は法廷。
エイジは畑中葉子の殺人罪については否定しながらも、京花への殺人未遂罪を認めます。
そして「すべては復讐のためだった。辛い現実から逃れるために、存在もしない真犯人を作りだした」と話します。
そして「私が・・葉子さんを殺したも同然です」と。
そして次の場面では裸足で街中を歩くエイジの姿が。
エイジ・・留置場を脱走しました!この展開は予想出来ましたが、なぜ法廷で自白する必要があったのでしょうか?
警察に追われる身となったエイジは、これからどうやってLL事件の真相にたどり着くのでしょうか・・?
『親愛なる僕へ殺意をこめて(7巻)』のあらすじ

時はさかのぼり、B一こと八野衣エイジが表に出ていた数日間。
エイジは葉子を捜しますが連絡がつきません。
エイジが葉子を選んだから・・という理由で京花に殺されてしまっていたのです。
葉子殺しに白菱の関与を突き止めたエイジは白菱家へ。
しかし京花から薬を打たれ、意識は朦朧と。
そこで模倣事件の元凶である京花の口からすべてが語られます。
今回の模倣事件を起こした理由は、LL事件の真犯人などいない。
LLは八野衣真で、エイジはLLの息子だ、それを誇りに思って欲しから。
そして二人のエイジの人格を統合し、本来のエイジに会うことだと話します。
京花がメッタ刺しになった場面、エイジが誰にやられたのか問いただすと、京花は「LL・・」とつぶやき気を失うのでした。
あえてLLの計画に乗り、逮捕されるエイジ。
それは他の誰でもなく、自分の手で真犯人であるLLを裁くためでした。
時は戻り現在、入院中の京花の喉にナイフを突き立てるエイジ。
エイジの目的は京花を殺すことではなく、京花の口封じに来るであろうLLの正体を暴くために、隠しカメラを設置することだったのです。
しかし、これから顧客リストを捜そうとしていたところ、刑事の桃井がエイジの潜伏先へ乗り込んで来ます。
エイジ同様にLL事件の真犯人を追っていた桃井は、エイジを逃がし、三日で無実を証明してみろと告げるのでした・・。
『親愛なる僕へ殺意をこめて(7巻)』の感想

親愛なる僕へ殺意をこめて二人のエイジ
物語の冒頭、浦島エイジが記憶を失っていた数日間、何が起こっていたか明らかになりました。
しかし時系列が入り組んでおり、二人のエイジ、そして京花との関係性を整理するのに混乱します。
なにより驚きだったのは、京花は八野衣エイジと協力し、浦島エイジの監視をおこなっていたこと。
そしてLL模倣事件の黒幕は京花だったこと・・。あの健気でかわいい京花は偽の姿だったのです。
しかし京花が八野衣エイジを出し抜き、畑中葉子を拉致監禁して殺害まで至った動機は、ある意味純粋なものでした。
それは、すべてLLのため。
LLを救世主と崇める京花は、エイジに「LL事件の真犯人なんて存在しない。」
殺人鬼・LLはお父さんなの。
そしてあなたはLLの息子。
それはとても素晴らしいことなんだよ?
なんでそれを否定して生きるの?
二人の人格が統合されて元通りになれば、私は“本来のエイジ君”に会えるのかもしれない。
それが私の最終的な目的・・」と話します。
京花のLLへの心酔っぷりは佐井の比ではありません。
畑中葉子を殺した理由が、エイジにLLの息子らしくあって欲しいから・・。
まさか、あの京花がこんな人間だったとは思いもよりませんでした・・。
そして時は現在に戻り、留置場を脱走したエイジは京花の入院している病院へ潜り込み、首元にナイフを突き付けます。
しかし京花は人工呼吸器に繋がれているにも関わらず「おかえり、八野衣・・エイジ・・君。アナタに私は殺せないで・・しょ?」と笑顔を見せます。
完全にホラーです。
親愛なる僕へ殺意をこめてエイジの野望
エイジの目的は京花を殺すことではなく、京花の口封じに来るであろうLLの正体を暴くために、隠しカメラを設置することだったのです。
そしてエイジの潜伏先に現れる真明寺。
ここでも真明寺はエイジに手を貸します。
これ程までに真明寺を動かすものは何なのでしょうか?
贖罪のためだけだとは考えにくいです。
京花に嫉妬したり、浦島エイジが作りだされた人格だと知って涙を流すなど、個人的な思いもかなり強いのでしょう。
とにかく頼りになります。
しかしその真明寺をつけていた刑事、桃井がエイジのもとへ・・。
万事休すと思われたエイジでしたが、桃井は構えていた拳銃を下げます。
LL事件の犯人が八野衣真だということに疑問を抱き続けていた桃井は、「三日やる。その間に自分と父親の無実を証明してみせろ」と告げるのでした。
・・なぜたったの三日?
しかし桃井の口ぶりだと、LL事件の真犯人は警察内部に潜んでいる可能性が・・。
改めて顧客リストを追うエイジ!
限られた時間の中で真相を明らかにすることはできるのでしょうか・・!?
*本文中の画像は『親愛なる僕へ殺意をこめて』とは無関係です。
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